マネーの虎、立花洋さんの世界一のパスタ屋。考察

尾島です。

マネーの虎に学ぶビジネス学講座。

今日はこちらの「世界一のパスタ屋編」を考察してみます。



マネーの虎、世界一のパスタ屋。考察


プレゼンターは44歳、無職の男性で、

やりたい事業は「イタリアンレストランチェーンの開業」。


希望した金額は980万円でした。


先に結論を言うと、この回はマネーが成立した回で、

出資を受けた男性は現在4店舗まで店舗数を拡大しています。


2014年頃の情報で年商が2億2000万円。


従業員の4店舗で50名という事ですので、

飲食店4店舗、50名の従業員を抱えて年商2億であれば、

経営者(オーナー)にそこまで大きな身入りは無いと思いますが

世間一般的には「成功例」の1つに挙げられるのではないかと思います。


2億円の売り上げに対して材料費を30%ほどに見積もると


材料費:2億×60%=6000万円


従業員、一人あたりの平均給与が1カ月20万円だとして


50名の人件費:1000万×12カ月=1億2000万円


4店舗のテナント賃料が平均50万円ほどだとして、


テナント賃料:50万×4店舗×12カ月=2400万円


かなり乱暴な計算ですが、これで諸経費が2億400万円なので、

年商2億2000万円との差し引きは1600万円。


税金を差し引いてオーナーの手元には

毎月80万円ちょっと残っている計算でしょうか。


これを成功していると捉えるかは人それぞれですが


「飲食店の経営者としては成功している」


と言えるラインではないかと思います。


ただ、この「世界一のパスタ屋」を提唱した、

立花洋さん(当時44才、無職)に出資をしたのは、

飲食店経営とは全く無縁のだった加藤和也社長でした。


美空ひばりさんの息子さんとして出演していた、

ひばりプロダクションの社長さんですね。


そして、その志願者である立花洋さんのプランを


「儲からない」

「利益が出ない」



と真っ向から完全否定したのが、

当時は飲食店経営で成功を納めたいた安田久社長でした。


ただ、実際にこの立花洋さんのイタリアンレストランは、

現在、4店舗に店舗数を拡大する成功を納め、

彼のビジネスプランを「儲からない」と否定した安田久社長は、

2011年頃に自身の会社を倒産させています。


そして、そんな2人(立花洋さん、安田久社長)の末路は、

現にこの「マネーの虎」の放送内容における、

立花洋さんの考え方、ビジネスプランと、

それを完全否定した安田久社長の考え方に現れているところがあります。


後に明暗を分けた立花洋さんと安田久社長の経営視点


「世界一のイタリアンレストランチェーンを開業したい。」


そう豪語した立花洋さんの経営プランは、

何ら奇をてらったものでも何でも無く、

その方針は至ってシンプルなものでした。


平たく言えば、


「お客様目線で最大のサービスをする」


という事。


彼自身にはそれなりの接客業経験があり、

そういう人材を育てられるというのが1つの自信であり、

具体的なプランとして上げていたのは、


「材料費を上げて本当においしいものを提供する。」


という事でした。


逆に言えば、彼の経営プランは本当にただ「これだけ」で、


『材料費を上げてでも本当においしいものを提供して、

 最高の接客をしてお客さんを満足させていけば、

 それで世界一のイタリアンレストランを目指せる。』



というものだったわけです。


私はイタリアンレストランの経営やコンサル経験は無いので、

その材料費の比率がどれくらいのものなのかは分からないのですが

立花洋さん曰く、大半のお店は20%の材料費を切るそうです。


要するに200円で作れるパスタ、ピザを1000円で出している、と。


立花洋さんはそこを30%、40%の材料費にして、

同じ値段でもっとおいしい料理を出せば、

お客さんはもっと満足してお店に来てくれるだろうと、

言わば、そういう経営プランを提案したわけです。


そしてこのプランを全面否定したのが安田久社長です。


それじゃ儲からない、やっていけない、と言ったわけですね。


ただ、私としてどうも腑に落ちないところが、

安田久社長が何故、この経営プランを、

そこまで「儲からない」と否定したのか、というところです。


それこそ当時は飲食店の経営を何店舗もやっている安田久社長なら、

この経営プランが、さほど問題なく「成り立つもの」である事くらい、

容易に想定できたんじゃないかと思うのは、私だけなんでしょうか。


これは何もそこまで難しい計算がいる話では無いからです。


例えば「全20席のレストラン」を開業するとして、

少し数字を分かり易くする為の例を簡単な数字のみにしますが、


稼動率50% 客単価2000円


この条件で材料費の原価率が20%だったなら、

客単価に対しての利益は1600円になりますので、

そのお店の一日あたりの売り上げは


1日10組(稼働率50%):16000円


という事になります。


対して、材料費を2倍の40%にする事で顧客満足度を上げ、

その稼動率が1.5倍の75%になった場合、


原価率40%で客単価に対しての利益:1200円


という計算になりますが、稼働率が75%で、


1日15組(稼働率75%):18000円


という数字になります。


材料費を2倍にしていますから、

単純に2倍おいしいものを作って

お店の稼働率(集客力)を1.5倍に上げられれば

この通り、普通に儲けは後者の方が大きくなるわけです。


これが2倍の集客率になればもっと儲かる事は一目瞭然です。


ただ、実際の飲食店において「2倍おいしいものを作る事」は

それくらいの集客効果、リピーター率の向上に繋がります。


まあ、材料費を2倍にして2倍おいしいものを作れるかは、

コックさんの腕前とか、色々な要素が考えられますが、

志願者である立花洋さんが言いたかった事、

提唱したかったプランはこういう事だと思うんです。


物凄く単純な話ですよね。


ただ、実際に飲食店を複数経営していた安田久社長が

こんな単純な計算を出来ないはずが無く、


「それでは儲からない(成りたたない)」


と言ったのは、立花洋さんの経営プランを、

違った方向で極点に捉え過ぎていたからとしか思えません。


安田久社長曰く。


「材料費を上げるとおいしいものは作れるが利益は圧迫される」

「利益で会社、店が成りたち、従業員を食わせていける。」

「だから利益を圧迫するような経営は成り立たない。」



このような意見を述べていましたが、

先程の計算の通り、材料費をそれなりに上げても、

それ相応の顧客満足度を引き出せれば、

それ以上の費用対効果を生む事は実際に可能なはずなんです。


にも関わらず、真っ向から立花洋さんのプランを否定したのは、

安田久社長の飲食店経営の視点、思考の中に、


「おいしいものを作っても顧客満足度は変わらない。」

「顧客満足度を高めても稼働率、リピート率は変わらない」



というものが根本としてあったからなんじゃないかと思います。


そうでなければ、立花洋さんのプランを、

あそこまで真っ向否定する事は無いと思うからです。


言い方を変えると、安田久社長の経営者としての思考は、


「飲食店において料理の味はそこまで重要じゃない。」

「顧客満足度なんて、そこまで高める必要はない。」



という考えが根底にあり、突き詰めると、

実際に成功している自分のお店が、


「何故、うまくいっているのか」


もあまり正しくは認識していなかったんじゃないかと思います。


顧客満足度を追及しない飲食店が成功していたのですから、

それはおそらく「結果として」顧客満足度を取れていたか、

たまたまの「流行」に乗れていただけなのかもしれません。


実際に安田久社長は2011年に会社を潰していますしね。


なので、この当時の安田久社長は、

自分なりの間違った飲食店経営の成功論理を持っていて、

その論理の中には、


「材料費を上げてお客さんの満足度を高める」


という視点、考え方は全く無かったのだと思います。


だからこそ、立花洋さんの経営プランに対して、


「ただ利益を圧迫させるだけ」


という意見しか出て来なかったんじゃないでしょうか。


南原竜樹社長からの詰問


また、この放送回では、立花洋さんの経営プランに対して、

南原竜樹社長からもこのような詰問がなされています。


『世界一を目指すなら、これまでに無かった何かを教えて欲しい

 こんなサービスはこれまで無かったとか、そういうものが欲しい』



この質問に対して、立花洋さんは黙り込みました。


黙り込んだ理由は南原竜樹社長が言うようなもの、

そのようなサービスプランは存在しなかったからだと思います。


ただ、この質問に黙り込んだ立花洋さんの気持ちは、


「そもそも、自分が提案している経営プランは、

 そういう奇をてらう方針で押し進めるものじゃないんだよ!」



というものだったんじゃないかと思います。


南原竜樹社長は、世界一を目指すなら、


「これまでに無い何か新しいものが必要」


という趣旨の意見を述べ、それを立花洋さんに求めました。


ですが、立花洋さんの世界一を目指す方針は、


「そんな物珍しい何かに頼るのではなく、

 本心でお客さんをどこよりも満足させるお店を作れれば、

 そういうお店はおのずと世界一のお店になっていく」



というものであり、だからこそ、


・材料費を上げて料理をおいしくして顧客満足度を高める

・最高の接客サービスでお客さんを満足させる



というプランを掲げていたのです。


“それを徹底していく事こそが「世界一のお店作り」である。”


これが立花洋さんの経営プランであり、考え方だったわけです。


要するに、その「世界一のお店を作る為に不可欠だと思うもの」が

南原竜樹社長と立花洋さんとでは全く異なるものだったわけですね。


勿論、南原竜樹社長の言うような、


「これまでに無い何か」


を武器にしてこそ注目と脚光が集まり、

世界一を目指せるお店が作れるというのも1つの考え方です。


ただ、私はどちらかと言うと

立花洋さんのような「王道を突き進む考え方」の方が好きです。


そして、統計的に言うなら、そういうお店やビジネスの方が、

結果的には長く成果を上げ、成功しているものだと思います。


奇をてらったものでは一時的な成功は掴めても長続きはしません。


結局、そういった「圧倒的な武器」があったとしても、

最後には立花洋さんの提唱するものが不可欠になってきます。


飲食店の経営においては、


・材料費を上げて料理をおいしくして顧客満足度を高める事

・最高の接客サービスでお客さんを満足させる事



この2つこそが最も重要である事は揺るぎないと思うからです。


「おいしい」

「接客、サービスがいい」



飲食店であれば、この当たり前の事が

実際に「どこよりも」出来ていれば、

おのずとそのお店は成功すると思いますし、

それが出来ていないとお店は何をやっても駄目だと思います。


要するに奇をてらうだけでは駄目だという事。


そんな王道を真っ直ぐ進む事しか考えない、

立花洋さんの経営プランに賛同し、

お金を出したのは飲食店の経営等には一切明るくない

加藤和也社長だったというのはなかなか面白い結末ですよね。


ただ、飲食店の経営経験などが無いからこそ、

当の加藤和也社長も「飲食店を選ぶお客さんの目線」で、

立花洋さんの話を素直に聞けたんじゃないかと思います。


『彼にお店を任せればきっと成功する』

『彼の経営の考え方こそが成功するお店の考え方だ』



と、お客側の目線で直感したんだと思います。

(その直感だけで980万円を出資出来る器量はさすがですが)


その後も「マネーの虎」達の質問に対して、

立花洋さんは多いの「自分のプラン」をアピールしていきます。


『自分の長所、ウリは何?』

→ お客さんを絶対笑顔にする自信がある

→ そういう従業員を育てる自信がある


『自分の短所、欠点は?』

→ お客さんに怠慢な態度を取った従業員に対して怒りが爆発する


『経営者として大事な事は?』

→「お客さんの笑顔です。」


最後まで「お客さんの満足度を上げる」という方針に対して、

一貫して自分自身の短所、長所、考え方をアピールしていった立花洋さん。


その多くの回答は「投資をするか否か」を判断する、

ほぼ全ての社長さん等にとっては、

あまり「前のめり」になるような回答では無かったと思います。


ですが、その中で彼の姿勢、人間性、経営方針を評価したのが、

美空ひばりさんの息子である加藤和也社長だったわけですね。


「出してもいいな、この人だったら。」


加藤和也社長が980万円全額を出資し、マネーは成立。


立花洋さんの現在は冒頭でお伝えした通りです。


このマネーの虎「世界一のパスタ屋」編は、

飲食店の経営に携わっている経営者の人にとっては、

立花洋さん、安田久社長の顛末も含めて、

色々と飲食店経営の本質を見つめ直せる内容だと思います。


以上、

「マネーの虎に学ぶビジネス学講座、世界一のパスタ屋編」

の考察でした。


他の放送回における考察も行っていますので、興味があればどうぞ。

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2016年3月4日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリー:マネーの虎ビジネス学

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